【利益よりも優しさを】ホースウェルフェアの考え方

おうちで生き物と暮らしている、また暮らしていたという方は多くいらっしゃると思います。
今は「ペット」から「家族の一員」へと立ち位置が変わってきており、生き物との関係性がより深くなってきましたよね。日常のお世話に気を配ったり、おしゃれをさせたり、旅行に連れて行ったり、誕生日を祝ったり、亡くなればきちんと埋葬したり。「アニマルウェルフェア」の考えが着実に広まりつつあることを実感します。
「ウェルフェア」と聞くと小難しいように思うかもしれませんが、もしかしたら知らず知らず心に根付いているものなのかもしれません。
ホースウェルフェアとは

さて「アニマルウェルフェア」の中でも「ホースウェルフェア」とは、馬が快適に健康に、幸せに過ごせるようにしようという動物福祉の考えです。
1960年代にイギリスで提唱された5つの自由(「空腹・渇きからの自由」「不快感からの自由」「苦痛・疾病からの自由」「正常な行動を実行できる自由」「恐怖・苦悩からの自由」)を基盤として、リトレーニングによって活躍の場を広げる、なるべく本来の自然な状態で過ごせるように配慮するなど、多岐にわたっています。
馬は長らく経済動物として飼育されてきました。乗馬の世界でも利益優先で回転率を上げるため、馬に痛みや疲れが見えてもレッスンに使い続けるというケースも残念ながら皆無とは言い切れないのです。そんな環境下で馬は痛みを我慢すれば酷使され、痛みを露わにすれば扱いづらいとされてしまっていました。「従順な馬」の背景にはこのような闇が潜んでいるのかもしれません。
国際馬術連盟でのルール改定

ホースウェルフェアの下、乗馬や馬術競技においても、今まで当たり前とされてきた習慣や道具の使い方が見直されはじめています。国際馬術連盟ではルールの改正もたびたび行われています。
【 馬の感覚毛除去の禁止 】
感覚毛とは、馬の快適な生活に必要なもの。しかし今まで感覚毛を剃ることは身だしなみとして当然のように行われてきましたが、見た目のためだけにヒゲを剃ることは禁止となりました。
【 口腔内の状態の確認 】
ビット(ハミ)や手綱の扱いで馬の口の中などに傷ができていないかを競技前に確認するようになりました。見えにくいところではありますが、しっかり気を配ります。
【 鞭や拍車の使用ルールの見直し 】
馬場馬術などでの過度な刺激や、精神的なストレスにつながる行為への取り締まりが強化されました。
【 問題視されたトレーニング法の廃止 】
首を過度に巻き込む「ロールクール」などの手法も、ホースウェルフェアの視点で禁止対象になります。
このように馬のよりよい競技生活、延いては幸せな馬生を過ごせるよう、ルールを改めています。
そして日本馬術連盟も国際馬術連盟のルール改正に準じ、ルールの共通化を進めています。国際機関が先頭に立って行動することで各国がそれに倣い、今後さらにホールウェルフェアが世界に広がっていくでしょう。
私たちができるホースウェルフェアへの関わり方

前述の通り「従順であること=よい馬」という構造は、時にホースウェルフェアの概念から大きくかけ離れることがあります。
もちろんほとんどの乗馬クラブはわたし達と馬との架け橋として、馬を大切にし、ホースウェルフェアに則って乗馬というサービスを提供していると思います。
ホースウェルフェアを考えた時にわたし達に何ができるのか?馬にとって過酷な状況を知るのは心が痛むことですが、そのような馬が1頭でもいなくなるように、そして1頭でも幸せに過ごせる馬が増えるように、まずはホースウェルフェアを理解することから始めてみてください。知ることで見え方や感じ方に変化が訪れ、視点が変われば今まで気付かなかったことにふと意識が向くこともあるでしょう。
また仕草を見て馬が何を望んでいるのか、不調を訴えてはいないかなど、気を配れるといいですね。気づく力を育て、そして馬に対する知識を高めていくのも、わたし達にできることのひとつだと思います。
その気付きの積み重ねがわたし達の愛情として馬に伝わればいいなと願います。
まとめ
乗馬クラブに限らず、馬術競技や競馬なども含めて、馬がいてこそ成り立つものです。使役する側とされる側ではなく、パートナーとして関わっていけるのが理想ですよね。
乗馬を楽しむ方は馬を愛する方でしょうから、きっと愛おしい存在として接していると思います。ホースウェルフェアの根幹をなす愛情をもって、乗馬活動をこれからも楽しんでくださいね。








