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自分の鞍を持つべき?

自分の鞍を持つべき?

乗馬の上達とともに、誰もが一度は「自分専用の鞍」に憧れを抱くものです。
マイ鞍は騎乗の安定感を高め、上達を後押しする心強い相棒となりますが、高価で専門性の高い道具ゆえに「いつ、何を選ぶべきか」という悩みも尽きません。

今回は、初心者が知っておくべき現実的なデメリットから、後悔しない購入時期の見極め方、そして一生モノとなる自分に合った鞍の選び方まで、大切なポイントを分かりやすく解説します。

知っておくべきデメリット

自分の鞍を持つべき?

マイ鞍を持つことは上達への近道ですが、所有に伴う現実的な課題を整理しておく必要があります。

まず最大の壁は「価格」です。
鞍は職人が手作業で仕上げる精巧な皮革製品であり、普及品でも30〜50万円、一流ブランドやオーダー品では100万円を超えることも珍しくありません。
これに加えて鐙や腹帯などの周辺馬具も揃える必要があり、初期費用は非常に高額になります。
自分に見合った頻度で乗り続けられるか、最初の大きな判断材料となります。

次に「徹底したメンテナンス」の負担です。
鞍は馬の汗や泥にさらされるため、騎乗のたびに汚れを落とし、専用オイルで革に潤いを与えるケアが欠かせません。手入れを怠ると革が乾燥してひび割れたり、カビが発生したりして寿命を縮めるだけでなく、安全性にも影響します。この作業を愛着を深める時間と捉えられるか、手間と感じるかが分かれ道となります。

さらに「保管と運搬」の問題もあります。
多くの乗馬クラブでは保管料やロッカー代が毎月発生します。自宅で保管する場合は、10kg近い鞍を毎回運ぶ重労働に加え、適切な湿度管理が必要です。

このように、鞍を持つことは単に物を買うことではなく、継続的なコストと管理の責任を負うことであるという認識が欠かせません。
メリットばかりに目を向けず、こうした維持管理の側面まで納得した上で検討を進めることが、長く乗馬を楽しむための秘訣です。

ポイントは「時期」

自分の鞍を持つべき?

「いつ買うのが正解か」という問いへの明確な基準は、自分の進みたいカテゴリーが定まった時です。

乗馬には「馬場馬術」と「障害飛越」という大きな柱があります。初心者のうちは両方に対応できる「総合鞍」をレンタルしますが、上達するにつれて「美しく動かしたい」のか「高く飛びたい」のか、自身の好みが明確になってきます。

方向性が定まらないうちに総合鞍を購入すると、後に専門種目を極めたくなった際、専用鞍への買い替えが必要になり、コストが無駄になるリスクがあります。
馬場鞍はシートが深く脚を長く下ろせる構造、障害鞍はシートが浅く膝で支えやすい形状と、それぞれ専門性に特化したサポート機能があるため、自分のスタイルが確立されてから選ぶのが最も賢明です。

また、自身の技術的な安定度も重要です。
軽速歩や駈歩で馬の動きに合わせる「随伴」ができるようになり、座り方が一定になって初めて、鞍の良し悪しを正しく判断できるようになります。
一般的には50〜100鞍程度の経験を積み、三種歩法が一通りこなせるようになった頃
が、インストラクターのアドバイスを仰ぎながら検討を始める理想的なタイミングとされています。

焦って周囲に合わせる必要はありません。自分自身の技術と目標を見据え、心から「この鞍で共に成長したい」と思える瞬間を待ちましょう。

自分に合った鞍の選び方

自分の鞍を持つべき?

運命の一背を見つけるには、まず「情報収集」が重要です。
メーカーごとに設計思想は異なり、座り心地の柔らかさやニーブロックの位置は驚くほど違います。クラブでマイ鞍を持つ会員や指導員に、ブランドごとの特徴や実際の耐久性、後悔した点などを聞き出してみましょう。カタログスペック以上に、実際の使用感に基づいたリアルな声は大きな指針となります。

次に欠かせないのが「実際の馬での試乗」です。
単体で座った時と、動いている馬の上では感覚が全く異なります。ショップのテスト用サドルを数日間借りて練習に使用し、自分の骨格にフィットするか、脚が理想的な位置に自然と落ちるかを確認してください。この際、指導員に客観的な姿勢の変化をチェックしてもらうことも失敗しないための鉄則です。

最後に「馬へのフィット感」と「将来の展望」を考慮します。
鞍が馬の背中に合っていないと、馬が痛みを感じて健康を損ねる原因になります。自馬がいない場合は、多くの馬に適合しやすい形状を選ぶ必要があります。

また、将来さらに高いレベルを目指すのであれば、メンテナンス次第で10年以上使い続けられる高品質なブランド品を選ぶのも一つの手です。

予算と上達の目標を天秤にかけ、納得のいく一背を選び抜きましょう。納得して選んだ鞍は、あなたの騎乗スタイルを支える最良のパートナーとなってくれるはずです。

まとめ

自分の鞍を持つべき?

自分の鞍を持つことは、上達への近道になるだけでなく、愛馬や道具への愛着を深める素晴らしい経験です。
一方で、維持の手間や費用の面など、じっくり検討すべき課題もあります。焦って周囲に合わせる必要はありません。
自分自身の騎乗スタイルが形作られ、「もっと高いレベルを目指したい」と心から思った時が、あなたにとっての最高の購入時期となるはずです。

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