【英国上流階級のスポーツ】ポロについて
ポロは馬に乗って「マレット」と呼ばれるスティックでボールを打つチーム競技です。英国上流階級のスポーツというイメージがあるかもしれませんが、ポロには古代から続く歴史と、意外に荒々しい一面も!?ということで、今回の記事ではポロの起源や現状、そして日本国内での普及状況などについて紹介していきます。
起源
まずはポロの起源と、そこからどのようにポロが広まっていったのか見ていきましょう。「ポロといえばイギリス」というイメージが変わるかもしれませんよ。
古代ペルシャから始まるポロの歴史
ポロの起源は紀元前6世紀ごろの古代ペルシャに遡るといわれています。この時代には、軍事演習や遊戯として「チョーガン」と呼ばれる騎馬での模擬戦が行われ、戦士の軍事的な技術やチームワークを養っていたのだとか。馬を並べた激しい競り合いなど迫力あるプレイも、この歴史を知ると納得ですね。
もちろん、全ての戦士が馬を持てるわけではなかったため、チョーガンを行うのはほぼ王族や上級の戦士のみ。特別な立場の人だけが楽しめる遊戯という面もあり、競技自体が武力や地位の象徴だったようです。このように、王族がチョーガンを楽しむ様子は、古代ペルシャの文学や芸術にも多く残されています。
騎馬民族とポロの伝播
中央アジアには、トルコやモンゴルといった騎馬文化の盛んな国がいくつかあります。ペルシャ(現在のアフガニスタン周辺)で生まれたチョーガンは、こうした中央アジアの騎馬民族のあいだで人気の遊戯となったのです。その後、シルクロードを通じてインドや中国にも伝わり、インドではムガル帝国時代に「チャウガン」という名で愛されたといいます。
さらに時代が下り19世紀に入ると、インドはイギリスの植民地になります。このときに、現地で行われていたチャウガンがイギリス軍を通してイギリス本国に伝わり人気のスポーツとなりました。これが、現在のポロの国際的な普及の始まりです。
上流階級に定着した理由
ポロのルーツとなるチョーガンも王族や一部の戦士などの上流階級に好まれました。また、イギリスで広まってからも、貴族階級の男性たちがたしなむスポーツだったようです。
このようにポロが上流階級を中心に定着した大きな理由は、お金がかかるスポーツだったこと。ポロは一人の選手が複数の馬を交代させながら試合を進めるので、複数の馬を持つだけの土地や飼料費などが必要になります。
そのほかにも、競技に必要な道具や練習する時間と場所も必要です。もしみなさんが習い事としてポロをしたいと思ったら、コストの高さはデメリットになるでしょう。しかし、それは当時の上流階級にとって「ポロをたしなむだけのお金がある」というステータスにもなったのです。
その結果、ポロの試合は単なるスポーツに留まらず上流階級の社交の場としても大きな役割を持ち始めます。すると、さらに参加することで得られるメリットやステイタスは高まり、ポロの人気は根強いものになったと考えられます。
使用する道具や馬の装備
日本では見る機会の少ないポロですが、試合にはどのような道具を使うのでしょうか?ポロの馬装についても併せてみてみましょう。
ポロの基本道具
ポロは白いキュロットとポロシャツにブーツという服装で行うのが一般的です。また、上流階級に好まれたスポーツとはいえ、競技中は打った球が飛んできたり衝突が起こったりするため、ガードの付いたヘルメットを使用する場合もあります。
馬上からボールを打つための長いハンマーのようなものはマレットと呼ばれ、竹や木が主な素材です。使用されるボールは硬質プラスチックや木製のものが多く、強い打撃にも耐えられるようにとても頑丈に設計されています。
ポロ・ポニーとその装備
ポロの競技で使用される馬は、一般にポロ・ポニーと呼ばれます。ただし、品種はポニーではなく、サラブレッドやクォーターホースなど小回りが利いて俊敏な馬が主流。
ポロ・ポニーには競技用の軽量な鞍を付け、接触や打球から馬の脚を守るためにプロテクターを使用します。頭絡は乗馬用と大きな違いはありませんが、激しいプレイの中でハミが引っかかって馬が負傷することがないよう銜枝のある大勒銜などは避けることが多いようです。
人気国と日本での普及
古くから上流階級の人気スポーツだったポロですが、現在ポロが盛んな国といえばどこなのでしょうか?また、日本での現状はどのようなものなのでしょうか?
世界でのポロの普及
現在は、アルゼンチンなど南米の国々がポロの中心地として知られており、世界トップクラスの選手やチームが数多く存在します。アルゼンチンではポロは国民的なスポーツであり、毎年開催される「アルゼンチン・ポロ・オープン」は世界中から注目されています。
一方、中央アジアからチャウガンを取り入れて国内に広めたイギリスや、イギリスに支配されていた時代があるアメリカに多くのポロクラブが存在します。そのほか、ポロのルーツが生まれたパキスタンなど中東諸国や、中央アジアからチョーガンが伝播したインドでも、ポロが盛んに行われています。
日本でのポロの現状
日本ではポロの認知度は低く競技人口も少ないものの、いくつかのポロクラブが活動しています。特に外国人居住者も多い首都圏や、馬術文化が発達している北海道では、ポロの試合やプロモーションイベントがみられることもあるでしょう。
まとめ
ポロは古代ペルシャに起源を持ち、現在もエレガントかつ迫力あるスポーツとして多くの国で愛され続けています。実際に見てみるとプレイ自体もエキサイティングなものですが、歴史や文化的背景を知ればさらに楽しめるかも!?日本でも徐々に広がりを見せているので、みなさんもぜひ機会があればポロの試合を観戦してみてくださいね!