【馬のシャワー】馬の洗い方や頻度について
「馬を洗うって何だか大変そう…」と思っていませんか?でも、一度やってみれば「あれ?意外とサッとできた!」と感じるかも。今回の記事では、馬を洗う目的や方法、注意点などを詳しくまとめました。
馬を洗う効果と役割
野生の馬は身体を洗う機会がないはずですが、飼育している馬はやっぱり洗うべきなのでしょうか?まずは、馬を洗う必要性や理由について考えてみましょう。
皮膚の清潔を保持する
洗うといえば真っ先に思いつく目的が「きれいにすること」だと思います。もちろん、馬を洗う一番の理由も清潔を保持すること。日々のブラッシングで取り切れていない汚れをしっかりと落とすことで、見た目だけでなく皮膚の炎症や病気を予防する効果も期待できます。
体温を下げる
夏場は、人と同じく馬も暑さで体調を崩すことがあります。そんなときは、運動後などに水でゆっくりと身体を冷やすと熱中症の予防になると言われています。もちろん冷たすぎる水はNGですが、真夏はクールダウンのためにお湯でなく水洗いもおすすめですよ。
シャンプー剤は必要?その他必要な道具は?
よく馬用シャンプーが販売されていますが、馬を洗うためにはやはりシャンプーが必要なのでしょうか?その他の必要な道具と併せて確認していきましょう!
シャンプーは必須ではない
シャンプーを使うとスッキリとキレイになったことを実感しやすいので人間は「しっかりお手入れしてあげた感」がありますが、実は汚れや雑菌と一緒に皮膚表面の油分も落ちすぎてしまうことがあります。
もちろんシャンプーを使ってはいけないわけではありませんが、シャンプーを使うときはお湯の温度は低めにして、丸洗いのうち数回に1回だけシャンプーを使うなどの工夫が必要です。
ゴムブラシ
太めの突起が並んでいるゴム製ブラシです。地肌の汚れを落とすためのブラシで、水にも強い素材なので馬を洗うときには重宝します。ゴムブラシのほか、プラスチックブラシを使うという人もいるでしょう。
馬を洗うときは、毛の表面だけでなく皮膚の汚れをしっかり落とすことを意識しましょう。そのためには、身体を流しながらゴムブラシなどで円を描くようにゴシゴシとこすってあげるのがおすすめです。
汗こき
金属性で柄の付いた輪っか、もしくはゴムでできたT字型の道具です。ワイパーのように、馬の身体に沿ってこすると、身体に付いた水分を落とすことができます。
馬を洗い終わったら、身体を拭く前に汗こきで毛のあいだに溜まっている水分を落とします。なるべく水分を落としてからタオルで拭けば乾きが早いので、馬の身体が冷えすぎてしまうことも防げますね。
正しい洗い方の手順
では、馬を洗う目的と使う道具が分かったので、いよいよ実際に洗う際の手順を確認していきます。大まかな手順は、下記の3ステップです!
1.馬に声をかけて馬の足元から水をかけていく
2.馬の身体を上のほうから順に洗っていく
3.汗こきで水を切りタオルで拭く
ブラッシングや馬装のときにも言えることですが、いきなり作業に入ると馬がビックリしてしまうことがあります。洗うときは、まず声を掛けながら近づいて首などに軽く触れましょう。そして、いきなり体に水をかけるのではなく足の先からゆっくりと水をかけていきます。
身体まで水を掛けたら、洗うときは上から下へ洗っていきます。もし下から順に洗うと、せっかく足元をキレイにしたのに身体を洗った水が脚を伝って流れたときにまた足が汚れてしまいますよね。
身体を洗うときは、先ほど紹介したゴムブラシなどを使っていきます。鞍やゼッケンが乗っていた場所・腹帯が当たる場所など汗がたまりやすい場所を特に重点的に洗いましょう。
後脚の付け根や股なども汗がたまりやすいのでしっかり洗いたい場所ですが、体毛が短い場所なのでブラシでなく手で洗うのがおすすめです。後脚の近くなので、誤って踏まれたりしないように馬の動きに注意しながら洗ってくださいね。
シャンプーを使う場合は流し残しに注意して、全身を洗い終わったら汗こきで毛の流れに沿って水気を切っていきます。その後、タオルでさらに拭いて身体がだいたい乾いたら完了です。
洗うときと拭くときの注意点
使う道具も行程もさほど多くないので、馬を洗うのはそこまで難しいことではありません。しかし、洗うなかでいくつか気を付けなければならないポイントがあるので覚えておきましょう!
水を怖がる馬もいる
馬の中には、ホースを向けられることや、顔の近くに水を掛けられることを極端に怖がる馬もいます。水をかけ始めるときには馬の様子を見て、あまりに怖がる様子があれば無理に丸洗いせずインストラクターなどに相談しても良いかもしれません。
怖がったり暴れている馬に「そのうち慣れるかな」と水をかけ続けると、馬のケガや思わぬ事故につながることがあります。また、馬が洗い場に対して嫌な場所というイメージを持ってしまい、洗い場自体に行きたがらなくなってしまうということも起こり得ます。
鼻や耳に水が入らないように
人も鼻に水が入ると辛いですが、馬は鼻呼吸のため、鼻に水が入る=人間で言えば口と鼻に同時に水が入ってしまうようなもの。また、馬の耳は敏感な場所なので水が入ると馬が驚いたりする可能性が高く危険です。
もし、直接顔を水で流す場合は、鼻や耳に水がかからないように注意しましょう。個人的には、頭絡の皮が当たっていた部分を中心に濡らしたタオルで拭く方が嫌がらない馬が多いと感じるので顔は水洗いせず拭くだけにとどめるのもおすすめです。
水を掛けるときは末端から
いきなり体幹部に冷たい水を掛けると、馬の心臓などに大きな負担がかかる可能性があります。また、先ほどお話ししたような水を怖がる馬もいるので、足先に水を掛けたときの反応もしっかり見ておくことが大切です。こうしたポイントに気を付けながら、徐々に温度に慣れてきたら体幹部にも水を掛けていきましょう。
ホースやタオルで馬を脅かさない
馬は、人が考えるよりも小さな動きに驚くことがあります。特に、ホースを振るような動きや、タオルが揺れる動きなどには驚く馬が多いようです。ホースは先のほうを持ち、タオルは必要な大きさに畳んでバサバサさせないなど、馬を脅かさない工夫をしてみましょう。
まとめ
水洗いではブラッシングでは取れなかった汚れを落とすこともできるので、大切な馬の清潔を保つためには重要なお手入れの一つです。馬のストレスになることは避けつつ、定期的に全身をスッキリ丸洗いしてみましょう!