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馬のお面(メンコ)って?

馬のお面をご存知ですか?別名メンコ(面子)とも言い、競馬や乗馬ではメンコを用いて馬を走らせることがあります。メンコがなぜ必要なのかご存知でしょうか?
今回はメンコについて、その効果などをご紹介します。またメンコ以外の、頭に装着する様々な馬具についてもまとめました。

メンコについて

馬のお面(メンコ)って?
メンコとは、馬の顔につける覆面のことを指します。
様々な色やデザインで馬の顔をカラフルに彩るメンコですが、元々はおしゃれを楽しむ目的で用いるものではなく矯正馬具として使用します。メンコには、主に次のような効果があります。

①耳を覆うことによる効果
②視界を狭める効果
③顔に砂がかかるのを防ぐ効果

上記の効果について、このあと詳しく説明していきます。

なぜメンコをつけるの?

馬のお面(メンコ)って?
乗馬のレッスンでも使用することがありますが、メンコは主に競走馬に用いる矯正器具のひとつです。レース中、馬を走ることに集中させるために装着します。
そもそも、なぜメンコが必要なのでしょうか?メンコを装着する効果についてまとめました。

耳を覆うことによる効果

馬は聴力に優れており、人が聞こえないような高音も聴き取ることができます。
人の可聴域は20ヘルツから20,000ヘルツと言われています。それに対して、馬の可聴域は55ヘルツから~33,500ヘルツです。低い周波数帯での聴力は人に比べると劣っているものの、3万ヘルツ超のいわゆる超音波まで聞くことができます。また、馬が音を検知できる距離は約4kmほどと言われており、遠くからご主人が乗ってる車の音を聴き分けることができるそうです。

音に対して敏感な馬は、少しの物音にも驚いて暴れることがあります。人馬の安全のため、音に敏感な馬にはメンコを被せて音が聴こえにくくさせます。音に敏感な馬にとっては非常に効果的です。

視界を狭める効果

ご存知の通り、馬の視野はとても広く350°を見ることができます。人の視野が約200°なので、馬は私たちよりもずっと広範囲の視野を持っているのです。そして馬はとても臆病な動物です。視野が広いことが、馬にとってはマイナスに働いてしまうことがあります。

馬は背後に見えるものに対して非常に敏感で、背後の動きを見てパニックになることがあります。そのような馬はメンコをつけることで視野を狭め、走ることに集中できるようになります。

顔に砂がかかるのを防ぐ効果

乗馬クラブでは、練習用の馬場に砂を入れていることが多いと思います。また競馬のレースでは、ダートという砂のコースを走るレースがあります。馬によっては走っている時に砂が顔にかかるのを嫌がる場合があります。メンコには砂を被らないようにするための働きもあります。

メンコはファッションとしても

馬のお面(メンコ)って?

私たちがおしゃれをするように、馬にもメンコをつけておしゃれを楽しむことができます。
競馬では、自分の馬を派手に見せる目的でおしゃれなメンコを装着させる馬主もいます。

メンコは、茶色や黒色などの落ち着いた色が主流ですが、無地だけでなく柄のある生地で作ったメンコもあります。また、リボンをつけたり刺繡を施したりと、オリジナリティーに溢れるメンコも見かけるようになりました。

メンコの素材も多様化しており、メッシュ素材や、クール素材、虫よけ効果のあるものなど様々です。冬でも馬達は顔に沢山汗をかくので、洗濯可能で乾きやすい素材が最適ですね。

馬装の際にメンコとゼッケン、プロテクターを色や柄で揃えるととてもおしゃれでカッコいいです。
もちろん、乗り手とのコーディネートも素敵ですね。

他の矯正器具

馬のお面(メンコ)って?
メンコ以外にも、馬の顔につける矯正器具がありますので、ご紹介します。

ブリンカー

メンコの目の周りに装着し、馬の後方の視界を遮るカップ状の馬具です。別名遮眼革(しゃがんかく)、遮眼帯(しゃがんたい)とも言います。
レース中にほかの馬を怖がったり、よそ見をして集中力に欠けるような馬に用います。両目に装着されることが多いですが、左右どちらか一方に寄れてしまう馬など、癖によっては片目だけに装着したり、カップの深さで調整することもあります。
ブリンカーを装着してJRAのレースに出走する場合は、事前に装着することを申請しなければいけません。

ブリンカーの中でも、フードの目穴部分をネットで覆った網目状のものをホライゾネット(別名パシュファイヤー)といい、レース中に前を走る馬が跳ね上げる砂が目にかかるのを嫌がる馬に用いられます。
視野が暗く狭くなるため、パドックや返し馬などでうるさい馬を落ち着かせる効果もあります。

シャドーロール

頭絡の鼻革に装着する、主に羊毛で作られる馬具です。
シャドーロールは、主に3つの効果があります。

①足元の視界を制限する

馬はとても憶病なため、自分の影などに驚いて集中して走れない場合があります。シャドーロールで脚元の視界を遮ることで意識が前に向き、集中して走ることができます。

②頭を下げる

シャドーロールで脚元の視界を遮ることで、馬は脚元を見ようと頭を下げて走るようになります。
馬は頭を低くした姿勢で走る方が速く走ることができるのですが、中には頭を高く上げて走る馬がいます。そのような馬に対しては、シャドーロールは非常に効果的です。

③目を保護する

ダートで実施されるレースでは、前を走る馬が蹴り上げた砂が眼に入ることで、走る気をなくしてしまう馬が多くいます。
シャドーロールで眼を保護することで、馬が集中して走ることができます。

チークピーシーズ

目の外側の、頬のあたりに装着する馬具で、馬の視界を遮る効果があります。
神経質な性格の馬は、まわりの雰囲気に飲まれやすくスタートで出遅れることが多いのですが、チークピーシーズを装着することで出遅れが解消されることが多いと言われます。

まとめ

馬のお面(メンコ)って?
いかがでしたでしょうか?

私たちが普段、馬の頭につけるものと言えばイヤーネットが圧倒的に多いですが、実はそれ以外に様々な種類があるのです。

メンコはおしゃれを楽しむために身に着けることもありますが、基本的には矯正器具です。
馬は元々神経質なので、少しの音にも敏感に反応してしまいます。特に競馬場ではレース中に観客の歓声が大きくなるので、神経質な馬にはメンコを着用させます。

神経質な性格の馬たちのために作られた矯正器具は、いわば人間の思いやりによって生まれたとも言えますね。

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