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馬術競技で行う「敬礼」について

オリンピックを含めた馬術の競技会では、必ず審判へ敬礼をしてから競技が始まります。特に馬場馬術では、敬礼は、最初の採点対象となるエレメントでもあり、審判に与える最初の印象としてとても大事なものであると言われています。今回はこの敬礼について、深掘りをします。

敬礼とは

馬術競技で行う「敬礼」について

そもそも敬礼とはどのようなものなのでしょうか。お辞儀は世界各地で相手に対する敬いを表すものとして行われてきました。敬礼は下位の者が上位の者に対して尊敬を示すために行われ、上位の受礼者は「答礼」を行います。今日、西側諸国では握手をすることが一般的ですが、日本や軍隊ではお辞儀が使われます。ちなみに「礼」には、お辞儀の他にも握手なども含まれており、今は敬礼というと「挙手の敬礼」を示すことが多いようです。

馬術の「敬礼」は競技開始前に騎乗者が審判に向かって行うものです。競技によって、細かい部分に違いはありますが、必ず敬礼をしなくてはなりません。また、馬術連盟の規定により、「敬礼」を受けた審判も「答礼」をしています。ちなみに国家元首などの審判より上位であると考えられる観戦者がいる場合は、その観戦者に向かって敬礼をするように審判長から騎乗者に指示が入ることもあるのだそうです。

敬礼のやり方とタイミング

馬術競技で行う「敬礼」について

敬礼の方法やタイミングなどの細かい部分では競技によって、多少の違いがあります。馬場馬術の競技会では、敬礼も審査ポイントの一つです。所定の位置で馬の四肢をそろえて、停止させた状態で敬礼を行わなくてはなりません。きれいな敬礼を実施するためには、アリーナに入場するときから馬をコントロールしなくてはなりません。中央線をまっすぐに速歩させて入場したら、まずはしっかりと停止させる必要があります。馬を静止させなくてはならないため、入場する際に速歩を活発にしすぎる必要はありません。敬礼の間も馬にはじっとしておいてもらわなくてはなりません。左右の手綱の長さを合わせて、緩まないように片方の手にまとめて持ちましょう。片手に持つことができたら、手綱を持っていない方向の手を斜め下45度に伸ばします。その次のタイミングでうなずくように頭を下げましょう。腰からお辞儀をしてしまうと、馬が前に動いてしまうため要注意です。鞭を持っている場合も手綱と一緒に持つようにします。馬場馬術の演技では、演技終了時にも敬礼をする必要があります。

馬がまっすぐ前を向いた状態で動かずにいるのが美しくて印象的な敬礼です。敬礼が終わったら、手綱の長さを調整しながら左右に持ち替えます。敬礼を実施すると競技がスタートします。慌てずに、落ち着いて一連の動作を行いましょう。人馬ともにリラックスして敬礼にのぞめるのが理想です。

障害馬術の場合、人馬に入場のアナウンスがあったら、速やかに馬場に入場します。馬場に入場したら、審判塔に向かって敬礼をします。国際大会では馬術と同じように手を下に下げる敬礼をしている選手が多いようですが、国内や地域で行う障害馬術の競技会では、ヘルメットに手を添えて頭を下げて行われる敬礼もみられます。

忘れるとルール違反になる?

馬術競技で行う「敬礼」について

国際馬術連盟のルールにも日本馬術連盟のルールにも、必ず敬礼をすることという規定があります。また、選手の敬礼に対して、審判も答礼しなくてはなりません。選手が敬礼を忘れてしまうとルール違反になり、ペナルティが与えられます。緊張している選手も多いとは思いますが、敬礼も競技の一部だと肝に銘じて、忘れないようにしましょう。

また、日本馬術連盟が適用している国際馬術連盟のルールによって、敬礼の際に手綱は片方の手で持たなくてはならないと規定されています。しかし、左右どちらの手で手綱を持つのかは明記されていません。左に手綱を持ち、右で敬礼をする選手が多いようですが、ルール上は左右どちらでも問題ないようです。右手で敬礼をする選手が多いのは、軍隊でよく使われる挙手の敬礼を右手で行うからではないかと言われていますが、詳しい経緯についてははっきりとしていません。

まとめ

今回は馬術競技で競技開始前に必ず行われる敬礼についてご紹介しました。馬術の由来はギリシア時代の軍隊にあります。このことからも分かるように、馬と軍隊は切っても切れない関係です。この関係のなかで生まれた伝統が、競技前に必ず敬礼を実施する馬術の習慣に影響しているのかもしれません。馬術選手の戦いは敬礼から始まっています。馬術のトップライダーは敬礼の段階で一気に観衆を惹きつけ、会場の空気を自分たちのものにします!パリオリンピックでは、民放の無料見逃し動画配信サービスのTVer(ティーバー)で馬術も配信される予定のほか、グリーンチャンネルでも無料放送される予定です。観戦する機会があれば、是非、敬礼にも注目してみてくださいね。

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