黄金の馬と触れ合う旅。アハルテケ長谷川牧場 宿泊体験レポート

こんにちは!馬好きライターのやりゆきこです。皆さんは『アハルテケ』という黄金の馬をご存じでしょうか?今回は日本で唯一、この希少な馬を飼養・繁殖しているアハルテケ長谷川牧場での宿泊体験をご紹介します。都会の喧騒を離れ、アハルテケと過ごすゆったりとした時間が流れる牧場での特別な一泊二日は、忘れられない思い出となりました。
初めての青森。黄金の馬「アハルテケ」に会いに行く
アハルテケは、中央アジアのトルクメニスタン原産の馬です。シルクのように艶やかで金色に光り輝く毛並みから、「黄金の馬」とも称されています。以前から気になる品種だったアハルテケですが、大阪万博のトルクメニスタン館を訪れたことで会いたい気持ちが最高潮に…!こうして9月半ば。私はアハルテケをこの目で見るために青森県八戸市を訪れました。
最寄り駅まで、牧場スタッフの方に迎えに来ていただき車に乗り込むと、海と山の両方に恵まれた八戸の風景を楽しみながら進んでいきます。「だんだんと緑が深くなってきたな…」と思っていると、そこはもうアハルテケ長谷川牧場(以下、長谷川牧場)の敷地内でした。ここが日本で唯一アハルテケに会える場所です。
到着するとオーナーの長谷川百合子さんが温かく迎えてくれました。「遠くから朝早く、お腹がすいていると思って。早めにランチを用意しておきました」と、まずはお昼ごはん。
ほぼ始発からの移動だったので、その気遣いがとてもうれしかったです。八戸の名産「サバ」のサンドウィッチは絶品!デザートやサラダもついてボリューム満点でした。
あいにくの雨。厩舎のアハルテケたちとのんびり過ごす
ランチの後は、宿泊する部屋に荷物を置いて、いよいよアハルテケたちのいる厩舎へ…!
本当は初日にホーストレッキングの予定だったのですが、あいにくの雨。そんなわけで、ゆっくり厩舎の馬たちを眺めたり、オーナーの長谷川さんやスタッフの皆さんにアハルテケのお話を聞いたりしながら過ごしました。
アハルテケの気性は野性味があり、本来はとても警戒心が強いといわれていますが、馬たちは初めて見る私に興味津々。厩舎に一歩足を踏み入れれば、みんな顔を出してくれます。神々しいイメージが強かったアハルテケですが、なんだかとてもかわいらしい…!
アハルテケは黄金ということで、佐目毛がフィーチャーされやすい品種。でも、実際には多くの毛色が存在します。長谷川牧場にもさまざまなカラーのアハルテケが!どの毛色も光沢のある美しい被毛です。実際に触るとベルベットのようなすべすべした感触。これが黄金の輝きを生む理由だそうです。
トルクメニスタンの貴重な資料も。きれいで過ごしやすい宿泊施設
私が宿泊させていただいたのは牧場内のシャワー付きシングルルーム。清掃が行き届いていて、とても気持ちよく過ごせました。翌日に備えて早めに夕食をいただきましたが、しばらくは部屋の外のリビングスペースで過ごすことに。
というのも、リビングにはアハルテケに関する書籍や写真集、トルクメニスタンにまつわる資料がたくさん並んでいるからです。早めに就寝するつもりが、予定よりだいぶ遅くまで本を読み耽ってしまいました。
放牧地を自由に走り回る、生き生きとしたアハルテケの姿
例にもれず、牧場の朝は早い!ということで、2日目はAM4:30に起床。眠い目をこすりながらアハルテケたちの放牧を見学しようと、日の出とともに外に出ました。わずかに光が差す厩舎の中に浮かび上がるアハルテケの姿がとても美しく感じます。
牡馬は一頭ずつ、牝馬は仲良しグループごとに放牧をするそうです。放牧地へ向かう馬たちの後ろ姿を見ていると、わずかな太陽光を浴びただけで毛並みが輝き始めるのがはっきりと分かりました。
1頭ずつ与えられた放牧地は思っていた以上に広く、馬たちはゴロゴロしたり走ったり、自由きままに過ごしていました。前日の雨で、すぐに泥んこになってしまいましたが(笑)、それでも日光が当たると「黄金の馬」の輝きは健在。神々しさを感じます。ここからは、しばしアハルテケたちの生き生きとした放牧シーンをどうぞお楽しみください。
サラブレッドも大活躍。絶景を楽しむホーストレッキング
AM7:00からは前日に雨で中止になったホーストレッキングへ。ここまでアハルテケのことばかり書いてしまいましたが、長谷川牧場ではサラブレッドたちも乗馬として大活躍しています。馬場で10分ほどウォーミングアップをしてから、インストラクターの方と2頭で出発しました。
草原から海が一望できる絶景スポットを目指し、景色を楽しむトレッキング。道中には緑のトンネルなどもあり、常歩でのんびりと、自然に囲まれリラックスした時間を過ごすことができました。
また驚いたことに、この40分ほどのトレッキングコースはすべて牧場の敷地内でした。オーナーの長谷川さんによると、牧場の敷地は現在3分の2ほどしか活用できていないとのこと。今後はトレッキングコースもさらに整備していきたいそうです。これからが本当に楽しみですね。
輝く黄金の馬。太陽の光を浴びるアハルテケ
トレッキングから帰ると、午前の放牧が終わり泥んこだったアハルテケたちがピカピカにお手入れされていました。お天気もよくなってきたところで、記念撮影を。きめ細い光沢のある被毛に日の光がばしっと当たると写真加工なしでもこのゴールド感!(写真上)。さすがアハルテケです!ありがたいことにツーショット写真も撮影していただきました。
心に残る特別な体験。黄金の馬と過ごした忘れられない時間
アハルテケと過ごした二日間は、静かな感動の連続でした。朝もやの中で放牧に向かう姿や、陽射しを浴びて輝く黄金の毛並みは、実際に間近で触れ合うからこそ心に深く残ります。また、写真では捉えきれないアハルテケの生き生きとした馬らしい一面も見ることができました。厩舎で穏やかに餌を食べる様子を眺め、ホーストレッキングでは広大な牧場をサラブレッドと共に歩きながら青森の豊かな自然を肌で感じるなど、この上なく貴重な経験でした。
最後はオーナーとお茶をしながら、牧場のこれからや馬たちのことをゆっくり伺い、お昼ごろ名残惜しくも牧場をあとに。非日常に浸った一泊二日は、風景も体験も感覚も、すべてが心に刻まれる忘れがたい時間となりました。