手綱を上手に扱って初心者でも人馬一体になる方法
馬に乗って軽快に駆け足をしたり障害を飛んだりする姿はカッコ良く、自分もできるようになりたいと憧れるでしょう。乗馬は馬と人間が一つになる必要があります。
手綱の扱いを上達させることは、人馬一体になる一歩です。ここで紹介する手綱についての知識を参考に乗馬を上達させましょう。
手綱ってなに
乗馬をもう始めている人はもちろんのこと、乗馬をやったことが無い人でも「手綱」という言葉は耳にしたことがあるのではないでしょうか。手綱とは「たづな」と読み、馬具の一つです。
馬の頭に装着する頭絡や馬が口にくわえるハミに繋がっている紐状の物で、乗り手が持ち左右への指示や止まれの指示などの扶助を行う際にも使われます。上級者になると足で行う扶助と組み合わせ、さらに複雑な動きを支持することができます。
乗馬において馬とコンタクトを取るための大切な道具の一つです。
手綱の役割と種類
乗馬の道具の名称としてだけではなく、人を制御するといった意味合いで「手綱を握る」という表現をされることがあります。このように制御することに使われていることから、馬に乗った際に馬を制御するために使われると、なんとなくイメージが付きやすいでしょう。
では実際に乗馬において手綱とはどのような役割があるのでしょう。ここでは手綱の役割と種類について紹介します。
手綱の役割
乗馬をする上で馬に指示を出す方法は、脚扶助と手綱での扶助です。手綱は馬にどのような動きを行えばよいのかを伝える役割を担います。いわばハンドルとブレーキに当たるのが手綱なのです。
手綱を引くなどの動作を行うと手綱からハミに力が伝わり馬は指示を受けることができます。手綱では「手綱を引く」「手綱を控える」「手綱を譲る」「手綱を開く」「手綱を押す」5つの扶助を行うことができます。
「手綱を引く」は、馬へ止まるように指示するとき行われます。初心者が一番イメージできる動きかもしれません。しかし乗馬を習い始めて慣れてくると分かるかもしれませんが、実際には手綱を引き馬を停止させるのは推奨されないでしょう。
「手綱を控える」は、手綱を引くと同じで馬を止めたいときに使われる扶助です。乗馬を始めてすぐは、この控えるという扶助で馬がうまく止まらず、手綱を引いて止めていたかもしれません。しかし慣れてくると姿勢を正し手綱を控えることで指示が通ります。
「手綱を譲る」は、馬が歩く際、馬の頭が動き手綱が引っ張られます。その動きに対し少し手綱を緩めることです。ここで間違えてはいけないのが、手綱を完全に緩めハミ受けができない状態にしてはいけません。
「手綱を開く」は、馬に行きたい方向を伝える扶助です。この扶助はハミから指示を感じるというよりは、手綱で直接馬の顔を進行方向に顔を向かせことになります。
「手綱を押す」は、馬を回転したい方向へ誘導するための扶助です。手綱が緩まないように張り馬の顎を押します。ウエスタンの乗馬の場合、この手綱を押すことで方向を伝えます。
このように手綱は馬への指示を円滑に伝える役割があるのです。
種類
手綱と一言に行っても種類があるのはご存じでしょうか。乗馬を始めたばかりだと、自分が着用するキュロットやブーツ・鞭などを揃える人は多くても、手綱を初めから購入する人は少ないため、種類があることを知らない人もいるでしょう。
手綱の種類には、「布手綱」「ゴム手綱」「ゴム編み込み布手綱」「革手綱」の4つあります。
「布手綱」は丈夫で手入れも簡単なため、一般的に使われることが多いと言えます。持ち手は布でできていますが、長さの調節がしやすいよう革でストッパーがついるのが特徴です。間隔が狭い物や厚手の物・薄手の物とあるので、老若男女問わず使用することができます。
「ゴム手綱」は馬に思い切り引っ張られた時に耐えやすいため、初心者でも扱いやすい手綱です。
厚手に出来ているため丈夫ではありますが、ハミ受けは感じにくいと言えます。また女性や子どもなどの小さい手には握りづらいです。
「ゴム編み込み布手綱」は名前の通りゴムが編み込まれた布製の手綱です。扱いやすい布と握りやすいゴムで使いやすい手綱といえます。
「革手綱」は革特有の伸縮性がありフィット感が良いので多くの人に好まれています。
自分の手綱を購入しようと考えている人は、実際に手にして握りやすさなどを確認することをおすすめします。
手綱の張り方と握り方
ここからは手綱の張り方と握り方を紹介します。乗馬にはウエスタンとブリティッシュの2種類乗り方があります。どちらの乗り方を選択するかにより、手綱の張り方と握り方が変わります。
乗馬クラブによってどちらの乗り方で教えているかで違うので、あらかじめ確認しておきましょう。
ウエスタン
ウエスタンは両手持ちと片手持ちの二種類あります。初心者に関しては最初両手持ちを教わりますが、基本的にウエスタンでは片手乗りです。
ウエスタンの場合はルーズレインといって、手綱は緩めに持ちます。馬に自由度を与え、すばやく動けるようにするためです。
また使用する馬具がブリティッシュの物よりも重さのあるものが多く、手綱を緩く持っておかないと重みで張り過ぎてしまうことも、緩く持つ理由の一つです。
ウエスタンでの馬は、馬が自分の意思で動けるよう調教されています。そのため常にハミ受けをするのではありません。手綱は軽くまとめ左手の人差し指をひっかけ片手乗りをします。
ブリティッシュ
ブリティッシュは手綱をピンと張り基本的に緩まないように持ちます。ハミ受けをしやすくするためです。
親指と人差し指で手綱をつまみ、そのまま中指・薬指・小指を添えます。その時に薬指と小指の間に手綱を挟み、手首を返して親指の爪が上を向けます。ウエスタンとは違い、両手で手綱を持ちましょう。
騎乗バランスのとり方
乗馬は運動神経が良い悪いは関係がありません。重要なのはバランスです。いくら運動神経に自信があったとしても、馬の上でバランスを取ることができなければ上達しません。
初めて乗馬をすると、足でバランスを取ろうとし力が入ってしまいがちですが、実は乗馬をする上でのバランスは坐骨で取るのです。馬の上で背筋を伸ばし坐骨をたてます。
頭の先から上に引っ張られるイメージをし、頭・肩・お尻・かかとが一直線になるようにすると美しいフォームになり、バランスがとりやすいでしょう。坐骨をたて座る練習はバランスボールを使用するのもおすすめです。
また初心者にありがちなのが、手綱を正しい位置で維持することができないということです。手綱を持つ腕の位置が定まらず、馬の揺れに合わせ上下に揺れてしまうとバランスを崩しやすくなります。
手綱を正しい位置で固定して持てるよう練習することで、騎乗バランスは格段に良くなると言えます。
手綱を扱う上での注意点
馬は大きな体に反して、優しく大人しい動物です。また臆病な性格のため少しの変化や大きな音で驚きパニックになることもあります。馬が驚いてしまわないよう、無理に引っ張るようなことはしてはいけません。
また手綱を放してしまわないよう注意が必要です。手綱を放すことは馬を自由にしてしまうことになります。優しく大人しい動物ではありますが、急に走りださないとは限りません。手綱の扱いは大変重要で、適当に扱うことは馬も人もケガに繋がってしまいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。手綱の役割や扱い方について紹介しました。
手綱は馬と人とを繋げる大切な馬具の一つです。手綱を使い乗り手は指示を伝え、馬は指示が伝わっているかを伝えることができ、コミュニケーションを取ることもできます。
馬と人が人馬一体になることは、乗馬を上達させる為に必要不可欠です。ぜひ手綱の扱いを覚え、乗馬を楽しみましょう。