馬に関連するものの数え方
わたしたちは日常的に「数を数える」という行為を当たり前のようにしています。数える対象によって数字の後につく言葉が変わりますが、それはなんとなく身についているものですし、小学校でも学びましたね。
「1個、2個…」または「1枚、2枚…」など、「個」「枚」というように数の後ろにつくものを「助数詞」といいます。
助数詞は数を数える時、とりわけ情報を伝える時や受け取る時などわたしたちの言語生活に欠かせないもの。
例えば「1個」なのか「1束」なのか「1ケース」なのかで表すものに違いが出てきてしまいます。
もちろん馬に関することにも助数詞があります。
普段馬と触れ合う機会が少ないと馴染みがなく、馬に関連する数え方は少々特殊と感じるかもしれません。
この機会にトリビアとして知っておくと面白いですね。
馬の数
生き物の数え方には頭・匹・羽・尾などがあります。皆さんはこれらをどのように使い分けているのか意識したことはあるでしょうか。中でも「頭」と「匹」の使い分けは悩みがちですが、判断のポイントは動物の大きさ。
基本的に人間よりも大きい動物を「頭」、人間よりも小さい動物を「匹」としているようです。
当然わたしたちは馬を「頭」で数えますよね。
では何故このような数え方になったのでしょう。
それは元々西洋で牛を放牧した際、放牧地から脱走した牛がいないか確認する時に頭の数を数えていたからだと言われています。やがて大型の家畜の数え方として定着していったそう。
ただしこの数え方は日本が英語の影響を受け始めた明治時代頃から使われ始めたと考えられ、意外と歴史は浅いようです。
それまで日本では馬を「匹」と数えていました。
古来より生活していく上で欠かすことのできない家畜であった馬。人間は荷車を引かせたり農耕をさせたりと背後からその姿を見ることが多く、必然的に馬のお尻を目にすることも多かったと思われます。
そこで本来ふたつのものが対になっていることを表した「匹」を2つに分かれたお尻に重ね合わせるとともに、綱に繋いでものを”引く”という語呂合わせもあって用いられたようです。
他にも「1騎、2騎…」と言えば人が騎乗した馬。
「1乗、2乗…」は戦闘に用いる兵車からきた数え方で、兵車が4頭の馬でひかれていたことから馬4頭=1乗とされています。
また馬を始め、蹄のある動物は1蹄という数え方も。この場合は脚が4本ある為、4蹄=1頭という解釈です。
馬に乗った回数
乗馬をしているとよく耳にするのが「1鞍、2鞍…」という数え方ですね。言うまでもなく馬に乗った回数を表す単位です。
乗馬の経験値や習熟度を計る目安として乗馬クラブで質問されることもあると思います。クラブ側は騎乗者が何鞍乗ったかによって馬の割り当てや運動の種類、難易度を判断するのです。とは言え鞍数はあくまでも参考程度。
一般的には1鞍(1レッスン)45分のところが多いようですがクラブによって時間が異なることもありますし、30分のレッスンを半鞍とするクラブもあるようです。
このように1鞍の基準も曖昧な部分があるので、わたしたちはなんとなく把握しておくくらいでいいでしょう。
競馬での前を走る馬との距離
競馬の世界では着差を表現するのに「1馬身、2馬身…」という言葉が使われます。
文字通り馬の体が単位になっていて1馬身は約2.4mとされ、着差が10馬身を超える場合は「大差」と言い表します。
その他には「ハナ差(約20cm)」「アタマ差(約40cm)」「クビ差(約80cm)」など、いずれも馬の体が単位になっているのが興味深いですね。
因みにソリをひきながら力や速さを競うばんえい競馬では、息を入れながらレースが展開されるので着差はタイム差で表現され、「馬身」という単位は使用されないそうですよ。
まとめ
数を数えるという日常行為、馬に関するものは「頭」「匹」だけじゃなく予想以上に多い印象でしたね。聞き慣れたものからあまり馴染みのないものまで単位は多種多様。使われる単位の背景を知れば助数詞に悩むことも少なくなりそうです。
今回紹介した馬に関連する数の数え方、機会があればぜひ使ってみてくださいね。