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馬が余生を過ごす「養老牧場」

毎年たくさんの馬たちが高齢や怪我によってお仕事を引退します。引退した馬たちが、ゆっくりと余生を過ごすのが「養老牧場」です。養老牧場にたくさんのファンが訪れ、思い思いの時を過ごせるような環境が徐々に整ってきました。養老牧場は、昔からありましたが、その数がここまで増えて、一般の方にも知られてきたのはここ数年です。乗馬施設で、私たちを乗せてくれた乗馬たちも養老牧場で最期の時を過ごしています。ぜひ、引退馬達に会いに行ってみませんか。

養老牧場ってどんなところ?

馬が余生を過ごす「養老牧場」

養老牧場はさまざまな使役から引退をした馬たちが余生を送るための牧場です。競走馬の引退後に注目が集まりがちですが、乗馬や繁殖、種馬も仕事を引退した後に棲み処としています。今ではたくさんのファンが訪れることもある養老牧場ですが、昔はその存在があまり知られていませんでした。

養老牧場が注目されている?!

その存在が広く知られるようになったのは、ここ数年のことで、競走馬を擬人化したキャラクターのシミュレーションゲーム「ウマ娘プリティーダービー」やそのゲームに登場したナイスネイチャ号の貢献が大きかったのではないでしょうか。ウマ娘のキャラクターのモデルになっているのは、過去に活躍した実在の競走馬です。ゲームのファンが、モデルになった馬たちに会うため、養老牧場を訪れるようになりました。

認定NPO法人引退馬協会は2017年から毎年、ナイスネイチャ号の誕生日にあわせて、引退馬の再就職や預託のためにかかる費用を募る「バースデードネーション」を始めました。その後、ウマ娘がブームになると、ゲーム内の人気キャラクターのモデルであったナイスネイチャ号のバースデードネーションが注目を集めました。この寄付金のおかげで、多くの馬たちが引退後も路頭に迷うことなく、第二の馬生を送っています。そのナイスネイチャ号が暮らしていたのも養老牧場でした。(ナイスネイチャ号は昨年5月30日に安らかな眠りにつきました。)

さらに時を同じくして、日本中央競馬会の元調教師・角居勝彦さんが引退馬のプロジェクトや牧場を立ち上げたことも、競馬ファンにとっては養老牧場を認識するきっかけになったのではないでしょうか。このような経緯や時代の流れから、養老牧場が近年、脚光を浴びることとなりました。

養老牧場もさまざま

養老牧場は、牧場によって馬の生活スタイルに大きな違いがあります。放牧地が一頭一頭バラバラな牧場もあれば、仲間と一緒に昼夜放牧を行う牧場もあります。オーナーさんや里親さんたちの意向や馬の健康状態に応じて、その馬に合った牧場が選ばれます。馬たちは、養老牧場のスタッフの方から手厚いケアを受けながら日々、ゆっくり過ごします。

養老牧場で暮らす馬たちの一日

馬が余生を過ごす「養老牧場」

馬たちの一日のスケジュールは、競走馬の生産牧場や乗馬クラブと同様に、施設によってまちまちですが、朝はだいたい、朝ごはんから始まるようです。給餌を済ませて、お手入れや馬体のチェックが終わったら放牧。夏は少し早めの朝ごはんを食べた後から暑くなるまでの間、放牧をしている牧場が多いようです。馬は暑さが苦手なのに加えて、引退馬には高齢馬も多いため、健康管理上、暑い時間帯は直射日光の当たらない厩舎で過ごします。冬は日の高い時間にできるだけ長く放牧します。

集牧が済むと、馬体チェックとお手入れ。餌は、朝と夕方の2回。そこにプラスして、数回与える牧場もあるようです。高齢馬の場合、健康状態によって食べられる餌の種類も限られてきますので、 一頭ごとに特別メニューを作成して給餌します。また、昼夜放牧のスタイルをとっている牧場では、それぞれの馬の位置を決めて、朝と夕方に餌を与えるようです。その際に馬体のチェックやお手入れをして、熱を測ります。

見学・体験

馬が余生を過ごす「養老牧場」

見学や体験を受け入れている牧場もありますので、ぜひ、訪ねてみてください。餌やりや引き馬などの有料のプログラムに参加することも、養老牧場をサポートする一つの方法です。ただし、事前にインターネットで調べ、必要があれば、必ず連絡や予約をするようにしてください。要予約の牧場に、連絡をせずに突然訪問したりすることがないようにしましょう。また、見学不可の牧場や見学日が決まっている牧場もあるので、訪問する前にインターネットで調べてみてください。養老牧場を訪れた際には、スタッフさんの指示に従って、必ず見学マナーを守りましょう

まとめ

ピカピカな馬体で競走する若駒も美しいですが、引退馬たちには引退馬たちの何とも言えない良さがあります。養老牧場は、馬が好きな方にとっても、競馬ファンの方にとっても、訪れるのにとても楽しい場所です。しかし、訪問者のマナーが悪いと、馬が怪我をしてしまったり、事故が起きてしまったりすることも考えられます。見学マナーを事前に確認して、しっかり守って見学しましょう。一頭でも多くの引退馬を受け入れるために、ビジネスとして成り立たせようと、いろんなチャレンジをしている牧場もあります。この動きを一過性のブームに留めないように、一人でも多くの方の協力が必要です。この記事が養老牧場や引退馬に対するあなたなりのサポートを考えていただく機会になりますように!

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