騎乗中に馬が暴走してしまったときは
馬と共に過ごす以上、いつでも大人しい馬の姿が見られるというわけではありません。時にいつもは温厚な馬が急に暴走しだすこともあります。そんな時あなたは冷静に馬と向き合うことができますか?
ある程度乗馬の経験を積み、馬の扱いに慣れている人であれば問題なく馬を落ち着かせるための行動を取れるかもしれません。今回は馬が暴走してしまう原因と対処法を紹介します。いざという時に冷静に行動できるように頭に入れておきましょう。
馬が暴走する原因
あなたが様々なことに苛立ちを覚えたりパニックになるのと同じように、馬も様々な理由により苛立ち不安になり暴走します。馬の暴走の理由として挙げられるのは、「調教の不十分から来る我儘」「騎乗者に対しての苛立ち」「予期せぬ出来事への不安」などが挙げられます。
「調教の不十分から来る我儘」とは、乗馬クラブなどのいる馬たちは初めから乗馬用の馬として調教されているわけではありません。競走馬として活躍していた馬も中にはいます。乗馬用の馬として調教しなおされることもあるのです。また若い馬などは乗馬クラブで初めて調教を受けるということもあるでしょう。調教が不十分または乗馬用の馬としての経験が浅い馬は、レッスン中に我儘が出てしまい暴走することもあるのです。
「騎乗者に対しての苛立ち」とは、騎乗者のレベルが低い時に起こりやすいと言えます。初心者の人は仕方がないことではありますが、脚の位置・拳の位置など練習中という方がほとんどです。しかし過敏な馬にとって、変な位置に脚が来ていたり緩んだ手綱が当たることは、ストレスでしかないでしょう。レッスンでそのストレスが高まることで暴走してしまいます。
「予期せぬ出来事への不安」とは、馬の臆病な性格が関わってきます。大きな音や急な風といった、馬が驚きそうなことが起こった時に驚き、不安になった馬が暴走してしまうのです。予期せぬ出来事については、騎乗者が防ぎようがない場合が多いですが、馬の習性を理解しておくことと、暴走したときの対処法を知っておくことで、落ち着いて行動することができるでしょう。
大きな声をあげない
大きな馬の上に乗ている騎乗者にとって、馬が暴走するのは怖いものです。特に今まで暴走された経験のない人や乗馬を始めて間のない人にとっては、恐怖でしかないでしょう。恐怖のあまり声も出ないという人もいますが、多くの人が「うわっ」「キャー」と声を出してしまいます。
レッスン中突然暴走した馬に、思わず声を上げてしまっている人を見かけたことがあるという人もいるのではないでしょうか。正直大きな声をあげてしまう気持ちも分かります。
馬は臆病な性格と言いましたが、大きな音や大きな声を怖がります。馬が暴走したときに騎乗者が大きな声を発してしまうと、馬はその声に驚き更に暴走してしまいます。声を出したいところをグッと抑えましょう。
また悲鳴のような声をあげるのではなく、馬が落ち着くような声をかけるのは暴走を抑えるのに効果的と言え、優しく低めの声で「オーラオーラ」「ほーほー」と声をかけると良いと言えます。
手綱を交互に軽く引く
馬が暴走するとき、馬の力は前方に向けられます。その場から逃げ出そうとする馬が走りだそうとするからです。その時手綱を引いて抑え込もうとしますよね?もちろん間違いではないのですが、より馬の勢いを抑える為にやってもらいたいのが、手綱を左右交互に軽く引くということです。
手綱をピンと張るようにもちハミ受けをした状態にし、左右順番に手綱を引きます。馬の顔を左右に振らせるイメージです。これをすることで不思議と馬の勢いが収まって行きます。馬の勢いが収まったところで手綱を引きブレーキをかければ、馬をスムーズに止めることができるでしょう。
輪乗りや巻き乗りをする
暴走する馬の頭の中は、この状態から逃れる為にとにかく前進するということしかないでしょう。まっすぐ走れば、どんどん加速してしまいます。
馬が全速力すれば、騎乗者がバランスを取り馬の上にとどまることは難易度の高いことです。競馬の騎手をイメージすればなんとなく分かるかと思います。
対処法として少しでも加速することを止める為に、強制的に曲がらせる方法が良いでしょう。カーブを曲がるときには、どんなにバランスの良い馬でもスピードが落ちます。輪乗りや巻き乗りをするように馬を誘導し、スピードを落とさせ今以上の暴走を食い止めてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
乗馬は意思を持った馬と一緒に楽しむスポーツです。人間がその日によって気分が違うのと同じで、いつでも馬が機嫌よく騎乗させてくれるとは限りません。
騎乗者の乗り方で怒りのスイッチを押してしまうことも、周りの状況でパニックになってしまうこともあり、それがいつ起こるかは予測することができません。馬が暴走したときに正しい対処法ができなければ、落馬や大きなケガに繋がることもあります。
いつ起こるか分からない馬の暴走に対処できるよう、馬の習性と様子・そして暴走の対処法をしっかり頭に入れて起きてください。