駈歩発進を成功させる!うまくいかない原因と扶助のコツ
乗馬を始めた方にとって、駈歩は憧れの歩様のひとつではないでしょうか。しかし、いざ挑戦してみると、合図を出しても速歩になってしまったり、駈歩が出てもすぐに止まってしまったりと、思うようにいかないことも少なくありません。
実は、駈歩発進を成功させるには、脚による扶助だけでなく、馬の状態や騎乗者の姿勢、合図を出すタイミングも重要です。
今回は、駈歩発進がうまくいかない原因と、馬に伝わりやすい扶助のコツをご紹介します。
駈歩発進に必要な準備

駈歩発進を成功させるためには、合図を出す前の準備が欠かせません。
まず意識したいのが、馬の前進気勢です。
馬がだらだらと歩いている状態では、駈歩の扶助を出しても十分に反応してくれないことがあります。常歩や速歩の段階で、馬が一定のリズムを保ちながら活発に動いていることを確認しましょう。
ただし、前進気勢を高めることは、単にスピードを上げることではありません。速歩の速度ばかりが上がると、馬は前方へ流れるような動きになり、かえって駈歩へ移行しにくくなります。手綱と脚を適切に使い、馬が後肢を踏み込ませながら、バランスよく前進できる状態を整えることが大切です。
騎乗者自身の姿勢も重要なポイントです。
上体を自然に起こし、肩や腕の力を抜いて、左右の座骨に安定して体重を乗せましょう。発進を急ぐあまり前かがみになったり、脚で馬体を強く挟み込んだりすると、馬の動きを妨げてしまいます。
また、初心者の場合は、馬場の隅角や輪乗りなど、馬が自然に内方姿勢を取りやすい場所で練習すると、駈歩の手前を意識しやすくなります。ただし、急なカーブでは馬がバランスを崩しやすいため、指導者の指示に従い、無理のない場所で発進しましょう。
よくある失敗

駈歩発進でよくある失敗が、扶助を出しても速歩が速くなるだけで、なかなか駈歩に移行できないケースです。
これは、馬のバランスが整っていなかったり、駈歩の合図が十分に伝わっていなかったりすることが原因として考えられます。
このようなとき、焦って何度も脚を使うのは逆効果になることがあります。速歩の速度ばかりが上がってしまった場合は、一度落ち着いたリズムに戻し、馬の姿勢を整えてから再び挑戦しましょう。速く走らせるのではなく、歩様を切り替えるための合図を伝えることが大切です。
また、駈歩が出た瞬間に騎乗者の上体が前に倒れたり、バランスを取ろうとして手綱を引いてしまったりすることも、よくある失敗です。
馬は前進を促されているのか、減速を求められているのか判断しにくくなり、速歩に戻ってしまう場合があります。
さらに、脚を大きく動かしすぎることにも注意が必要です。特に外方脚を後ろへ引こうとして腰までねじってしまうと、騎座が不安定になり、馬に正確な扶助を伝えにくくなります。
駈歩に移行できても、意図した手前と反対の脚が先に出る「反対駈歩」になってしまうこともあります。初心者には判断が難しいため、発進後は指導者に確認してもらい、正しい手前で走れているかを意識するとよいでしょう。
馬に伝わりやすい駈歩発進の扶助

駈歩発進では、内方脚と外方脚を使い分けることが基本です。
例えば左手前で駈歩を発進する場合、内方脚となる左脚は腹帯付近に置き、外方脚となる右脚を少し後ろへ引きます。
内方脚は馬の前進を促し、外方脚は後躯の位置を整えながら、駈歩の手前を指定する役割を担います。外方脚は大きく引く必要はなく、普段の位置からわずかに後ろへ移動させる程度で十分です。両脚を同時に強く使うのではなく、それぞれの役割を意識することが大切です。
手綱の使い方も重要なポイントです。
内方手綱で馬に軽い内方姿勢を求めながら、外方手綱で肩が外へ逃げないように支えます。ただし、内方手綱を強く引いて首だけを内側に曲げるのは避けましょう。馬体全体のバランスが崩れ、正しい駈歩発進を妨げることがあります。
また、扶助を出すタイミングにも注目してください。
馬が活発なリズムで動き、バランスが整ったところで、脚と騎座を協調させて合図を送ります。駈歩が出たら、馬の動きに合わせて腰や股関節を柔らかく使い、自然なリズムを保つようにしましょう。
発進に成功した後も、脚を使い続けて馬を急がせる必要はありません。
馬が駈歩を維持できるように必要な扶助を送りながら、安定した姿勢と柔らかい拳を保ちます。特に初心者は、発進の瞬間だけに集中しがちですが、その後の数歩を落ち着いて乗ることも大切な練習です。
なお、駈歩発進の扶助には、馬の調教状態や乗馬クラブの指導方法によって多少の違いがあります。まずはインストラクターの指示に従い、騎乗している馬に合った扶助を身につけていきましょう。
まとめ

駈歩発進を成功させるためには、脚の扶助だけでなく、馬の前進気勢やバランス、騎乗者の姿勢、合図を出すタイミングなど、さまざまな要素が関係しています。
うまく発進できないときは、むやみに扶助を強くするのではなく、速歩のリズムや自分の姿勢を振り返ってみましょう。また、発進できた後も、手綱を引きすぎず、馬の動きに合わせて安定した騎座を保つことが重要です。
駈歩発進は、馬とのコミュニケーションを深めるための大切な練習でもあります。焦らず経験を重ねながら、人馬ともに気持ちよく駈歩へ移行できることを目指しましょう。