乗馬メディア EQUIA エクイア

メインビジュアル

【お悩み解決!】馬が合図に応えてくれない時

【お悩み解決!】馬が合図に応えてくれない時

乗馬を始めて間もない頃、「脚(きゃく)を入れても馬が歩いてくれない」「手綱を引いても止まらない」といった壁にぶつかる方は少なくありません。
馬が合図に応えてくれないのには、必ず明確な理由があります。

今回は、馬に無視されがちな原因を紐解き、基本姿勢の見直しや馬の視点に立ったコミュニケーションのコツを解説します。

馬に無視される人の共通点

【お悩み解決!】馬が合図に応えてくれない時

レッスン中に「馬に合図を無視されている」と感じる時、実は馬がわざと意地悪をしているわけではありません。多くの場合、乗り手の合図が馬にとって「理解できないもの」になっていることが原因です。合図に応えてもらえない人には、いくつかの明確な共通点があります。

合図が曖昧でメリハリがない

最も多い共通点は、「合図が曖昧でメリハリがない」ことです。例えば、馬を発進させようとして脚(ふくらはぎ)で馬のお腹を圧迫する際、最初から最後までずーっとダラダラと圧迫し続けてしまうケースです。馬からすると、常にプレッシャーがかかり続けている状態に慣れてしまい、それが「進め」という指示なのか、ただ脚が当たっているだけなのか区別がつかなくなります。合図は「ポン」と一瞬だけ明確に与え、応えてくれたらすぐに緩めるという「ONとOFFのメリハリ」が不可欠です。

合図が弱すぎる、または強すぎる

次に、「合図が弱すぎる、または強すぎる」という点も挙げられます。馬を傷つけたくないという優しさから、撫でるような弱い脚を入れても馬には伝わりません。逆に、動かないからといって感情的に何度も強く蹴るような合図は、馬を萎縮させたり、反抗心を抱かせたりする原因になります。

矛盾した合図を同時に出している

さらに、「矛盾した合図を同時に出している」ことも初心者にありがちな失敗です。前に進ませようとして一生懸命に脚を入れているにもかかわらず、恐怖心から無意識のうちに手綱を強く引っ張ってブレーキをかけてしまっている状態です。アクセルとブレーキを同時に踏まれた馬は混乱し、どう動いていいか分からずにその場に立ち尽くすか、合図そのものを無視するようになってしまいます。まずは自分の出す指示が、馬にとってシンプルで分かりやすいものであるかを確認することが大切です。

騎乗の基本姿勢を見直す

【お悩み解決!】馬が合図に応えてくれない時

馬に的確な合図を伝えるための大前提となるのが、乗り手の「基本姿勢」です。どれだけ正しい合図の出し方を頭で理解していても、自身の姿勢が崩れていては、その指示が正しく馬に伝わることはありません。

耳・肩・股関節・かかとの位置

まず見直すべきは、横から見たときの「耳・肩・股関節・かかと」のラインです。これらが地面に対して垂直に、一直線に並んでいる状態が理想的な基本姿勢(垂直沈下)となります。初心者の多くは、馬が動かない焦りや恐怖心から、上半身が前傾してしまいがちです。体が前に傾くと、乗り手の体重(重心)が馬の前脚に余計にかかってしまい、馬は前へ一歩を踏み出しにくくなります。それだけでなく、前傾姿勢では脚が後ろに流れてしまい、馬の正しい位置(お腹のデリケートな部分)に合図を送ることができなくなります。

鞍の正しい位置にしっかり座る

また、リラックスして「鞍の正しい位置にしっかり座る」ことも極めて重要です。緊張で体がガチガチにこわばっていると、お尻が鞍から浮いてしまったり、随伴(馬の揺れに合わせる動き)ができなくなったりします。人間が緊張していると、その硬さは鞍や手綱を通じて驚くほど敏感に馬に伝わります。深く息を吐き、肩の力を抜いて、骨盤を立てて鞍に座るイメージを持ちましょう。

拳(こぶし)の位置

手綱を握る拳(こぶし)の位置も重要です。拳が上がりすぎたり、左右にグラグラ揺れたりしていると、馬の口元に不必要なプレッシャーがかかり続け、馬は苦痛を感じて耳を傾けなくなります。拳は低く、馬の口角と結ぶラインが直線になるよう一定に保ちます。

正しい姿勢を維持できて初めて、人間の体重移動や脚の圧迫が「明確なサイン」として馬の身体にダイレクトに伝わるようになるのです。

馬の視点に立つ

【お悩み解決!】馬が合図に応えてくれない時

乗馬は、言葉の通じない動物との「一対一のコミュニケーション」です。馬が合図に応じてくれない時は、人間の都合ばかりを押し付けるのではなく、一度「馬の視点」に立って、彼らが何を考え、どう感じているかを想像してみることが問題解決への一番の近道となります。

馬は本来、非常に臆病で繊細、そして群れを好む生き物です。そのため、周囲の環境変化にとても敏感です。あなたがいくら「進め」と合図を送っていても、馬が馬場のアブや物音、あるいは苦手な物(動く影やバケツなど)に気を取られて怯えている状態であれば、人間の指示は耳に入りません。馬の耳の動きを観察し、耳が前や後ろにせわしなく動いている時は、何かに気を取られているサインです。その場合は、まず優しく声をかけたり首筋を愛撫したりして、馬を安心させてあげる必要があります。

また、馬は人間の「心の迷い」を驚くほど見抜いています。「本当に動いてくれるかな…」という不安な気持ちで出す合図は、馬に「行かなくてもいいや」と侮られる原因になります。逆に「絶対にこの一歩を進める」という強いリーダーシップを持った意思は、姿勢や随伴の強さとなって馬に伝わり、馬を安心させます。馬は信頼できるリーダーの指示には喜んで従う習性があるため、乗り手が自信を持つことが何よりの合図になります。

さらに、馬が少しでもあなたの合図に反応してくれたら、それがたとえ僅かな一歩であっても、「そう、正解だよ!」とすぐに褒めてあげることが不可欠です。愛撫によってプレッシャーから解放されることで、馬は「この合図に応じれば楽になるんだ、褒められるんだ」と学習します。

馬の心理を理解し、お互いの信頼関係を築くことこそが、スムーズな騎乗への鍵となります。

まとめ

【お悩み解決!】馬が合図に応えてくれない時

馬が合図に応えない時は、曖昧な指示や姿勢の崩れがないか、自らの騎乗を振り返る絶好のチャンスです。馬の特性や心理を理解し、明確なメリハリのある合図と正しい姿勢を意識すれば、馬は必ず耳を傾けてくれます。
力で従わせるのではなく、心を通わせるパートナーシップを目指して、一歩ずつ練習を重ねていきましょう!

新着記事