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和式馬術を支える馬具

和式馬術を支える馬具

現在、日本の乗馬クラブで使われている馬具の多くは、西洋式のものです。しかし、日本には古くから独自の馬術文化があり、それを支えるさまざまな馬具が発達してきました。

武士が馬上で弓を射たり、刀や槍を扱ったりするために工夫された和式馬具には、現代の乗馬用品とは異なる特徴があります。特に、木製の和鞍や独特な形状の和鐙には、日本人と馬が長い歴史の中で培ってきた知恵が詰まっています。

今回は、和式馬術の特徴と主な馬具の役割、普段の乗馬で使用する馬具との違いをご紹介します。

和式馬術とは

和式馬術を支える馬具

和式馬術とは、日本で独自に発展してきた伝統的な騎乗技術のことです。日本に本格的な騎馬文化が伝わったのは古墳時代とされ、その後、武士の登場とともに馬術も発達していきました。

特に戦場では、馬に乗りながら弓を射たり、刀や槍を使ったりする必要がありました。そのため、馬を自在に操る技術だけでなく、騎乗者が安定した姿勢を保てる馬具も重要だったのです。

和式馬術の特徴的な騎乗方法のひとつが「立ち透かし」です。これは鐙に体重をかけ、腰を鞍から軽く浮かせた状態で騎乗する方法です。馬の背中の動きを妨げにくく、騎乗者は上体を自由に使えるため、馬上で弓を射る際などに適しています。

また、日本の在来馬は比較的小柄な馬が多く、体高130〜145cm程度の馬も和式馬術で活用されています。小柄な馬の能力を生かし、甲冑を身につけた武士が効率よく移動できるよう、騎乗方法や馬具に工夫が重ねられてきました。

現在も流鏑馬や馬上武芸などで伝統が受け継がれているほか、和式馬術の講習会や競技会も開催されています。

主な和式馬具

和式馬術を支える馬具


和式馬術で使用される馬具には、和鞍、和鐙、和銜などがあります。いずれも馬の動きや騎乗者の姿勢を考慮して作られており、西洋式の馬具とは異なる構造や特徴を持っています。

和鞍(わぐら)

和鞍は、主に木材を組み合わせて作られた日本独自の鞍です。前橋(まえばし)、後橋(しずばし)、左右の居木(いぎ)という4つの主要な部品で構成され、紐でつなぎ合わせています。

前後に高く立ち上がった部分がある独特の形状で、騎乗者の姿勢を安定させる役割を持っています。また、馬の背中に接する部分には緩衝材を使用し、馬への負担を軽減する工夫も施されています。

和鞍は、鐙に体重をかけて腰を浮かせる「立ち透かし」にも対応した構造になっています。

和鐙(わあぶみ)

和鐙は「舌長鐙(したながあぶみ)」とも呼ばれ、足を乗せる部分が前後に長く広がっているのが特徴です。

現代の一般的な西洋式鐙では、主に足の前方を鐙に乗せますが、和鐙では足裏の広い範囲で踏むことができます。そのため、鐙に体重を預けやすく、立ち透かしの姿勢を安定させるのに役立ちます。

金属製のものが多く、独特な曲線を持つ形状は、和式馬具を象徴するもののひとつです。

和銜(わばみ)と手綱

和銜は、馬の口に装着して騎乗者の指示を伝える道具です。伝統的な和銜には細い棒状のものがあり、現代の西洋式の銜とは構造や使い方が異なります。

和式馬術では、手綱を強く張り続けるのではなく、騎乗者の重心移動と手綱による細かな扶助を組み合わせて馬を操ります。

また、手綱には晒(さらし)と呼ばれる布を使用する伝統もあります。

このほか、馬の頭部に装着する面繋(おもがい)、鞍の位置を安定させる胸繋(むながい)や尻繋(しりがい)、鞍の両側に垂らす障泥(あおり)なども、和式馬具を構成する重要な道具です。

乗馬で使用する馬具との違い

和式馬術を支える馬具


和式馬具と、現在の乗馬クラブで一般的に使用されている西洋式馬具は、構造はもちろんですが、騎乗方法にも違いがあります。

まず大きく異なるのが鞍の形状です。和鞍は木製の骨組みを基本とし、前後に高い部分があります。一方、西洋式の鞍は、革や合成素材などで覆われ、騎乗者が座る部分や脚を添える部分が用途に応じて設計されています。

西洋式の鞍には、馬場馬術用や障害馬術用など複数の種類があり、それぞれの競技に適した形状が採用されています。

鐙にも大きな違いがあります。和鐙は足裏の広い範囲を支える形状ですが、一般的な西洋式鐙は足の前方を乗せる構造です。西洋式では、万が一落馬した際に足が抜けやすいことも重要視されています。

また、銜と手綱の使い方にも違いが見られます。現代の西洋式馬術では、馬の口との柔らかく安定したコンタクトを保ち、脚や騎座の扶助と組み合わせて馬をコントロールします。

一方、伝統的な和式馬術では、馬の頭頸を比較的高い位置に保ち、手綱を強く張らずに、重心移動や細かな扶助で馬を操る方法が用いられます。

ただし、どちらの馬術でも、馬の動きを妨げず、騎乗者が安定した姿勢を保つことが重要である点は共通しています。

まとめ

和式馬術を支える馬具


和式馬術は、日本の歴史や武士の文化とともに発展してきた伝統的な騎乗技術です。和鞍や和鐙、和銜などの馬具には、馬の能力を生かしながら、騎乗者が安定した姿勢で馬を操るための工夫が凝らされています。

現在の乗馬クラブで使用されている西洋式馬具とは、形状や構造、使い方に違いがありますが、どちらも人と馬が協力して動くための大切な道具です。

流鏑馬や馬上武芸などを見学する機会があれば、騎乗技術だけでなく、馬具の形にも注目してみてはいかがでしょうか。普段の乗馬とは異なる、日本独自の馬術文化の奥深さを感じられることでしょう。

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