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夏場に注意すべき馬の病気

日本の夏は高温多湿であり、馬にとっても過酷な季節です。
この時期に特に注意したい病気として、熱中症、蹄葉炎、そして様々な感染症が挙げられます。愛馬の健康を守るためにも、それぞれの病気について理解を深め、適切な予防と早期発見に努めたいものですね。

今回は夏場に注意すべき馬の病気について、それぞれの症状や予防法などについてまとめました。

熱中症

夏場に注意すべき馬の病気

夏場の馬にとって最も身近で、かつ命に関わる危険性のある病気が熱中症です。馬は人間と同様に汗をかくことで体温を調節しますが、人間のように効率的に放熱することができません。特に日本の高温多湿な環境下では、汗が蒸発しにくく、体温が上昇しやすい傾向にあります。

症状

熱中症の初期症状としては、多量の発汗、呼吸の乱れ(速く浅い呼吸)、心拍数の増加、元気の消失、食欲不振などが見られます。症状が進行すると、脱水症状、筋力の低下、震え、ふらつき、そして最終的には意識障害や痙攣を起こし、死に至ることもあります。

予防法

予防のためには、まず日中の暑い時間帯の運動は避け、涼しい時間帯に行うことが重要です。厩舎の換気を良くし、扇風機やミストなどを活用して温度を下げる工夫も有効です。十分な量の新鮮な水が常に飲めるように準備し、電解質を補給することも大切です。また、輸送時も熱中症のリスクが高まるため、こまめな休憩と給水、換気を心がけましょう。もし熱中症の疑いがある場合は、直ちに涼しい場所に移動させ、体を冷やしながら獣医の診察を受けることが必須です。

熱中症対策には、暑さ指数(WBGT)の活用が有効です。
WBGTは気温、湿度、輻射熱を取り入れた指標で、数値が高いほど熱中症のリスクが高まります。
環境省のウェブサイトなどで今日のWBGTを確認し、危険なレベルであれば運動を控え、馬を涼しい場所で休ませるなど、積極的に予防策を講じましょう。

蹄葉炎

夏場に注意すべき馬の病気

症状

蹄葉炎(ていようえん)は、蹄の内部にある蹄葉という組織に炎症が起きる病気で、激しい痛みを伴い、重症化すると跛行を呈し、蹄の変形や落下に至ることもあります。夏場に蹄葉炎が増加する要因の一つに、草の急激な成長が挙げられます。特に糖分を多く含む青草を大量に摂取することで、腸内細菌のバランスが崩れ、毒素が発生し、それが血流に乗って蹄葉に到達し炎症を引き起こすと考えられています。

他にも、過度の運動による蹄への負担、蹄への外傷、過体重、消化器系のトラブル(疝痛など)、あるいは出産後の母馬など、様々な要因が蹄葉炎の発症に関与します。症状としては、特徴的なのは「爪先立ち」をするような姿勢をとることです。蹄が熱を持ち、脈拍が強く感じられることもあります。歩行を嫌がり、ひどい場合はほとんど動けなくなることもあります。

予防法

予防策としては、まず草の摂取量を管理することが重要です。特に新しい草が生え始める時期や、栄養価の高い草を与える際は少量から始め、徐々に慣らすようにしましょう。肥満気味の馬は、運動と食事管理で適正体重を維持することも大切です。また、硬い路面での過度な運動を避け、定期的に蹄の手入れを行い、蹄の健康状態をチェックすることも蹄葉炎の予防に繋がります。もし蹄葉炎が疑われる場合は、すぐに獣医に連絡し、適切な治療を受ける必要があります。早期発見と早期治療が、蹄葉炎の悪化を防ぐ鍵となります。

感染症

夏場に注意すべき馬の病気

夏場は細菌やウイルスが活発になり、馬の感染症リスクも高まります。特に蚊やアブなどの吸血昆虫が媒介する感染症には注意が必要です。

代表的な感染症

代表的な感染症としては、日本脳炎が挙げられます。これは蚊によって媒介されるウイルス性の病気で、発熱、食欲不振、神経症状(ふらつき、麻痺、痙攣など)を引き起こし、重症化すると死に至ることもあります。予防にはワクチンの接種が有効であり、蚊の発生を抑える対策も重要です。

その他、馬インフルエンザや馬ヘルペスウイルス感染症なども、夏場のストレスや免疫力の低下により発症しやすくなることがあります。これらのウイルス性疾患は、発熱、鼻汁、咳などの呼吸器症状や、神経症状、流産などを引き起こす可能性があります。感染経路は主に飛沫感染や直接接触であり、感染馬との接触を避ける、消毒を徹底するなどの対策が求められます。

また、夏場は衛生管理が不十分になりがちで、細菌性の感染症のリスクも高まります。特に下痢を引き起こす細菌性腸炎や、蹄に炎症を起こす蹄膿瘍などには注意が必要です。厩舎内外の清掃を徹底し、新鮮な飲水と清潔な飼料を与えることが、細菌感染症の予防に繋がります。

予防法

感染症の予防には、ワクチンの接種に加え、定期的な健康チェック、適切な衛生管理、そして馬のストレスを軽減し、免疫力を維持することが非常に重要です。もし馬に異変が見られた場合は、早めに獣医に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。

まとめ

夏場に注意すべき馬の病気

日本の夏は馬にとって厳しい季節です。
ご紹介した熱中症、蹄葉炎、そして感染症といった病気は、どれも早期発見と適切な予防策が愛馬の健康を守る鍵となります。

日頃から馬の様子を注意深く観察し、少しでも異変を感じたら、迷わず獣医に相談して適切な処置を受けるようにしましょう。

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